~古の色を求めて~ 草木染ことはじめⅤ1
「身近なもので染めてみよう ~準備編~」


草木染の基礎知識

 はじめに、草木染(浸染)の基本的な工程を一通り説明します。

① 染色材料を選ぶ

染色材料は、野菜などの食材、自然の草木、染料店で市販されているものなど様々なものがあります。一番安全なものは、古代から使用されている材料ですが、現在多くの染織家の方々がSNSで発信をされていますので、それを参考にしてみるのも良いと思います。

●野菜などの食材関係  

タマネギの皮、ムラサキタマネギの皮、トウモロコシの皮、ピーナッツの殻と皮、クチナシ、アカジソ、ニンジンの葉、黒米、黒豆、小豆、シュンギク、アボガドの種と皮、みかんの皮、クリの皮 など

●お茶

緑茶、紅茶、コーヒーなど

●ハーブ

ウコン(カレー粉)、シナモン、カモミール、ジャスミン、バジル、タイム、ローズなど

●自然の中の植物の葉、枝、実

ビワ(葉)、ハス(葉、花托)、ヨモギ、ヤマモモ(樹皮、芯材)、キハダ(樹皮)、サクラ (枝)、スギ(葉)、タブノキ(葉)、ザクロ(果皮)、コナラなどの実(どんぐり)など

(注)自然の植物を採取する際は、毒性の有無や、その植物の所有権等十分ご確認下さい。

 

●落葉

サクラ、イチョウ、エノキ など

●市販の染料 アカネ、スオウ、カリヤス、コガネバナ、エンジュ(蕾)、ログウッド、ミロバラン など

② 染める素材を決めて前処理をする

●染める素材を決める

染められるもの・・絹、ウール、綿、麻、和紙、竹などの自然素材レーヨン(再生繊維) 

染まらないもの・・ナイロン、アクリル、ポリエステルなどの化学繊維

●染める素材が決まったら、ムラにならない様に湯通しをする。

市販の絹や木綿、麻はほとんどが精錬済みなので、湯通しするだけで十分ですが、染みこみにくい場合は、中性洗剤を加えた湯につけます。(15分~30分)(未精錬の場合はアルカリ洗剤を加えた湯で30分~1時間煮詰める必要があります)

洗剤を使った場合は、染色前に3回ほど水で良く洗います。

【綿の場合の処理】 (Ⅳ 植物が染まる仕組み を参照して下さい)

木綿は染まりにくいので、前処理として、大豆から作った豆汁を木綿に付着させるという【呉汁下地】処理を行います。(少量の場合、市販の無調整豆乳を使用しても可)例外:タンニンを多く含むものは、前処理しなくても比較的染まりやすい傾向があります。

一晩水につけておいた大豆を
ミキサーにかける
布で漉す
湯通しした布や糸に
呉汁を浸ししみこませる
5分ぐらい脱水をかけ、天日干しする

タンニン下地】呉汁下地の他に、タンニン(五倍子など)を使う方法もあります。

この方法は、木綿でもタンニンを多く含む植物は染まりやすいという特性を利用したもので、タンニンを含む染料で先に薄く染めてから、目的の染料で染める方法です。ミロバラン、お茶の出がらし、五倍子など。

ただし、若干出来上りの色に影響がでること、鉄媒染をすると暗い色になってしまうので注意が必要です。

道具を用意する

ステンレスボール、ステンレス鍋、ザル、ミキサー、はかり、計量カップ、小皿、計量スプーン、タイマー、さいばし、木綿のこし布、不織布、ゴム手袋、木綿手袋、PH試験紙、温度計 など。 

(鍋やボールは、染め色に影響をあたえず、そのまま火にかけられるスレンレス製のものが最適です)

④ 媒染剤を用意する (Ⅳ 植物が染まる仕組み を参照して下さい)

ほとんどの草木染は、布や糸と植物の色素を結合するために、媒染剤を使用します。

アルミを含むもの・・・明礬、焼き明礬、椿灰など

焼き明礬の場合・・染める素材の6%ぐらいを湯に入れ、透明になるまで加熱したあ と、水を加える。

   

を含むもの・・おはぐろ液、泥 など

おはぐろの作り方・・錆びた釘(無い場合は釘を塩水につけて作る)を、水と食酢を入れた容器に加えて煮詰めて、そのまま1週間~10日放置し漉す。

使用するときは、染める素材の20~30%の量を水にとかす。

錆びた釘を水と食酢を入れた容器で煮詰める

1週間から10日そのまま放置し漉す。

    

⑤ 染料液を作る (Ⅳ 植物が染まる仕組み を参照して下さい)

植物から色素を取り出した液を、染料液といいます。

【材料の量】 染める素材の重さを基準にして決めますが、植物によってその量は異なります。

おおよそ、生の葉や枝などは素材の重さの同量、乾燥したものなら半分が目安ですが、染まりにくい素材の場合には、分量を増やすなど、その都度様々な工夫が必要となります。

【水の量】 布や糸が十分に染まる水量。煮染めの場合は素材の重さの50倍、漬し染めは100倍程度の水が必要となりますが、煮出した後に、お湯を足して調整します。

【染料液の基本的な作り方】

染材を煮出す → 目の細かい布で漉す。少量の場合は、染料をあらかじめ不織布の袋にいれておくと漉さず済む。染材は何度も煮出して液を採ることが出来ます。

最初にとった染料液を1番液といい、以降、2番液、3番液と呼ぶ。(どの液を使うかは染めたい色で判断します。それぞれの液を混ぜても可)

赤茶系の染料液は、すぐ染めるよりも、数日置いた方が、赤みが強くなる傾向があります。

⑥ 染め方の順序 (ほとんどこの工程で行いますが、順序、回数が変ることもあります)

染材を煮出し色を抽出する → 漉した液に布(糸)を入れる → 媒染液に入れる → 良く洗い、また染料液に入れる → 水洗いする

 廃液処理について

染色液は、すべて草花、食材などを使用しているので、そのまま流してもそれほど問題ないと思われます。媒染剤については最低限の量を使用しているのですが、もしそのまま排水するのが気になる場合は、染色液と媒染液を混ぜて一晩置くと色素と媒染剤が結合して沈殿するので、上澄み液だけを流し、沈殿物を新聞紙などにしみこませるなどして燃えるゴミとして捨てて下さい。(point 染液と媒染液を混ぜた後に消石灰を少し入れると沈殿しやすい。

その他に、残液と媒染液を混ぜて、顔料を作る方法もあります作った顔料は冷蔵庫で数ヶ月保管出来、摺染め、型染めに使用する事が出来ます。色素をより利用したいと思う方は是非トライしてみて下さい。(この方法は後日説明します。)

参考文献:「新版草木染 四季の自然を染める」山崎和樹、「草木染の絵本」山崎和樹、「身近な素材で楽しむ おうちで草木染」箕輪直子、「草木染め大全」箕輪直子、「染織 染めを知る」京都芸術大学、「染司よしおかに学ぶ はじめての直物染め」吉岡更紗、文、写真、作品 永井智津子


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