
おいしそうなピーナッツ!」というあなたは千葉県民としてはまだまだ。
千葉県民なら「おいしそうな落花生!」と言っていっぱしです(笑)。
この文章をお読みいただき、今期の落花生、じっくり味わってください。
「落花」ってどういうこと?「生」もつくし。どんな意味があるのかな??
落花生は原産地は遠く南米大陸。日本には江戸時代に中国から入ってきました。
「南京豆」という名前を聞いたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
国内で最初に栽培を始めたのは、千葉県!と言いたいところですが、神奈川県です。
文明開化の横浜で販売されていた豆を栽培したのが最初ということです。
千葉県で落花生の栽培が始まったのは明治時代、約150年前。明治政府は「殖産興業」政策により
農業の奨励に重点を置いた勧農政策を進めていました。千葉県で勧めた作物の一つが落花生でした。
現在国内の収穫量の約8割を千葉県が占めています。千葉県の代表的農産物と言っても良いのはないでしょうか。
みなさんは落花生の花をご覧になったことはありますか、夏の暑い日差しの中、小さな黄色の花をつけます。(右写真)
枝豆などの豆類では、花の根元の子房がふくらみ豆になりますが、「落花生も同様に枝に豆がつく,,,」なんて思っている方はいらっしゃいませんか。


落花生は開花前に自家受粉する場合が多く、受粉後に、萼筒(注1)の根本(鱗葉や托葉の間)から独特の子房柄という器官が現れます(左写真)
植物の根が地中に伸びていくのと同じ、正の屈地性を持つ子房柄は下に伸びやがて土にささります。この先端に落花生の子房が位置しています。
子房柄が土に3~5㎝程ささった後、水平に曲がり子房の肥大が始まります。サヤのでき始めです。サヤの中のマメは子房柄やサヤから栄養を吸収し実りの季節を迎えます。
近年人気の「おおまさり」などのゆで落花生は8~9月ごろ、昔からお馴染みの「千葉半立」「ナカテユタカ」などの炒り落花生は10月~11月ごろに新豆が出始めます。
「花」が「落」ちたところから実が「生」まれるで「落花生」。この名前のいわということです。
先人の鋭い観察力からのネーミングです。
千葉県産の「落花生」今年もぜひ味わってください。(写真、文 宮崎菊江)
(注1)萼筒:花の萼の下部にある筒状の部分。エンドウ、シソなどにみられる。
参考:「落花生」前田和美 法政大学出版局
ラッカセイの絵本 鈴木一男 農文協
八街市郷土資料館 令和5年度企画展リーフレット 関東農政局HP