FIC会員がお薦めする自然に関する書籍のご紹介
書籍名 | おすすめポイント |
観察と発見シリーズ 「樹木博士入門」 全国農村教育協会 | 初心者が樹木の勉強をするのに最適の本。図鑑としても珍しく大判(羽根) |
『山と木と日本人』 筒井 迪夫 朝日新聞社1982 | 著者は「森林文化学」の提唱者。日本各地の森林と人間との長いかかわりについて、具体的な事例をとおして様々な側面から紹介されている。千葉県の山武林業についても記載(寺嶋) |
『木』 幸田 文 新潮社 1992 | 著者は、東京小石川の自宅近くの東京大学農学部森林植物学教室の施設へ通い、「木の先生」山中寅文氏(名誉森林インストラクター)と「虫の先生」西口親雄氏(当時・東京大学農学部助教授)を通じて木に魅せられた。木についてのおどろきや木のあやしさについて、文学者の感性で生き生きと綴ったエッセイ集(寺嶋) |
『崩れ』幸田 文 新潮社1991 | 文学者である著者が50歳を過ぎてから、「山腹崩壊」や「土石流」に興味を持ち、国や都道府県の協力を得て、日本三大崩れをはじめ、全国の大規模な山地災害の現場を実地に訪れた紀行文(寺嶋) |
『セコイアの森』 V.R.ジョンストン(西口親雄訳) 八坂書房.1997 | 森林インストラクター養成講座の講師をされていて、多くの興味深い本をお書きなった西口先生の唯一の翻訳書。 樹を軸にして、動物や鳥に始まり菌類や、環境についてまで、極めて広く深く考察されている。 本書の編集者の森さんのコメント:「カリフォルニアの森林を舞台に、そこに生息する動植物を生態系の視点から情感豊かに描く。 想像もつかないスケールの大きさが読者を圧倒し、アメリカの大自然の奥深さを見事に伝える。雄大な気分あふれる一冊」 八坂書房・Amazonで購入可能(樋口) |
『森はナゾがいっぱい』 西口親雄 ウッズプレス. 2012 | 森林インストラクター養成講座の人気講師だった西口先生の最後の本。 以下 「あとがき」より 『森林インストラクターは専門家の言うことを鵜呑みにしてはいけない。 自分の頭で考え、自分の答えを構築する。それを続けていると、生き物の意図がみえてくる。森の仕組みが見えてくる。そのことを森林ガイドで話す。それが、聞く人に感動を与える』 特に最近森林インストラクターになった方方達に読んでいただきたい(樋口) |
『平林さん、自然を観る』平林 浩 太郎次郎社エディタ2 2016 | 筆者はいくつもの科学サークルで出前教師として仮説実験授業を行うかたわら、長野の自然の中をゆっくり歩いて探し、眺め、観る「遠足」を長年続けている。 出身地の諏訪、学生時代を過ごした戸隠、霧ヶ峰、現在居住する東京都郊外で出会い心動かされた生き物たち、自然現象を深く観察した記録。仮説を立てて対象物を観察する仮説実験授業の教師としての視点が親しみやすい文章で書かれています 20年来先生の科学サークルで自然や科学を学んでいますが、たのしく、学ぶ喜びに満ちた先生の授業の原点に触れることができます(椎名) |
『 縄文人から続く草地利用と生態系 草地と日本人 』 築地書館 2019 | 須賀丈(昆虫生態学・保全生物学)・岡本透(土壌と土地利用・黒色土の由来)・丑丸敦(植物の進化の背景・送粉の共生)3名による共著 この60年で人の生活が変わり、秋の七草が身近でなくなりました。 氷河期に中国北東部から渡ってた植物や昆虫は、人の作った半自然草原で生き延びてきましたが、草地の喪失で縄文からの自然が急激に 変わってきています。新たな注目をあびている半自然草地・草原研究を学ぶ1冊(植村) |
『大地の五億年 せめぎあう土と生き物たち』 藤井一至 山と渓谷社 2022 | 樹木、草本、シダ、キノコ、昆虫とみてきましたが、行きつくところは土壌でした。 著者は博学博識なうえに世界を回り、土壌から発生した自然界を網羅しています(植村) |
『昆虫は最強の生物である』 スコット・リチャード・ショー 藤原 多伽夫訳 河出書房新社 2016 | 昆虫が海中の節足動物であった頃からの姿から、陸に上がってからあらゆる環境に適応するために、 6本の足、羽根と変態、堅い外骨格、擬態など姿かたちが進化していく姿は見事です。 植物や菌類とも共進して、お互いに種を増やしてきた歴史もとても興味深く、恐竜・哺乳類の比ではありません。(植村) |
『植物はすごい 』田中 修 中公新書 2012 | 動くことができない植物は、虫や動物、病気、太陽の紫外線、熱等からどうやって身をまもっているのか、植物のすごさが分かります。(宍倉) |
『木に学べ』西岡 常一 小学館ライブラリー 2003 | 木造の法隆寺がなぜ1350年以上もっているのか? 法隆寺の宮大工、西岡さんが、くぎ、木、建築様式の違い等から分かりやすく語っています。(宍倉) |
『樹木たちの知らざれる生活』 べーター・ヴォールレーベン 早川書房 2017 | ドイツの森林管理官が書いた森林の樹木の話。実体験に基づいた様々な木々の生き生きとした生活が語られています。(宍倉) |
『ペンギンが教えてくれた物理のはなし』 渡辺祐基 河合ブックス 2014 | 記録機器を付け動物の自然な行動を観測する研究手法「バイオロギング」。これを使ってインドガンはなぜヒマラヤを超えることが可能なのか?など、これまで謎に包まれていた 動物の行動を観測し、生き物の体のしくみを解き明かしていきます。思わず人にいいたくなる本です。(宍倉) |
『イラスト図解 鳥になるのはどんな感じ?』 デビット・アレン・シブリー/著、川上和人/監訳・解説 羊土社 | 大判の本でそれぞれ鳥の特徴を的確に表した美しい絵と生態の解説が非常に詳しくて面白い。図鑑の様な解説書なので内容の網羅性も高い。また解説者の川上和人氏は離島での進化の研究者として有名ですが、幾多の著書で示される博覧強記振りは圧倒的です。海外の著書でありながら川上氏の補足説明によって日本の野鳥もカバーされているのが嬉しい所(安武) |
『日本の山と高山植物』 小泉武栄 平凡社 | 多くの高山植物に恵まれた日本の山の美しさを、フィールド調査に基づき、その地質・地形・形成過程・気候条件と合わせて多角的に分析して、高度な内容にも関わらず分かり易く解説しています(安武) |
『地球の歴史(上)(中)(下)』 鎌田浩毅 中公新書 | 鎌田氏は京都大学で講義の面白い名物教授となり、その後も地震や噴火に関して多くの著書を現し、講演会など啓蒙活動も盛んに展開している。南海トラフ大地震や富士山噴火についても危機感を煽るのではなく、正しい知識に基づいて明るく対応するという準備行動を呼びかけている。この地球の歴史(上、中、下)は、内容は高度で豊富ですが、分かり易く面白く読める本で、啓蒙活動に力を入れている著者ならではの力作です(安武) |
あたらしい草花あそび 相澤悦子 山と渓谷社 | ムクゲの妖精、リュウノヒゲのペンダントトップとブレスレット、メヒシバでシャボン玉…など、身近な草花をつかってあたらしい草花あそびを楽しみたい方に(齊藤) |
『タネまく動物』 ~体調150センチメートルのクマから1センチメートルのワラジムシまで~ 小池伸介・北村俊平編著 文一総合出版(2024) | 基本的には全てが論文発表された内容で、その論文作成者が執筆しています。 非常に平易に書かれているにも関わらず、編著者が生態系全体への目配りをしているので広く深い内容となっています。実が目だつ秋に、恰好の話題提供ができると思います(樋口) |