NPO法人千葉県森林インストラクター会
種 名
漢字名
山桜
別 名
英 名
Wild cherry blossom
学 名
樹木区分
落葉高木

森林インストラクターの一口メモ
日本のサクラの大部分は、かつてはヤマザクラで占められていた。徳川の末に江戸の染井の植木屋が人工交配しサクラを作り「ソメイヨシノ」と、名付けた。ソメイヨシノは、クローンの桜の木で成長が早く現在は日本中にひろまった。ソメイヨシノはクローン桜なので、同じ地域なら同時期に一斉に同じように花が咲く。華やかさはあるが個性はない。山桜は、自然に交配して種ができ、芽生えて育つ。一本ずつ違って個性がある。清楚で凛とした美しさがある。木の寿命が長く各地の銘木には、山桜が多い。
<分布状況>
( 千葉県レッドデータブック ― )
千葉県
全国
宮城・新潟県以西~九州。
<生息地・生息環境>
山地に広く自生する。古くから庭などに植えられている。寿命が長く、各地に巨木が多い。
<特 徴>
- 高さが 15~25mほどにもなる。樹皮は黒紫色で光沢があり、横に細かい皮目が走る。株立ちするものもある。
- 葉は、長さ 7~13 ㎝、幅3~5 ㎝の卵状長楕円形または長楕円形で、先は尾状に尖り、縁には細かい鋸歯がある。葉は互生する。葉柄の上部に2個の蜜腺がある。葉の裏は粉を引いたように白っぽいのが大きな特徴である。また、若い葉の色は赤紫色、黄緑色、緑色など個体差が大きい。
- 花期は 3~4 月。葉が開くのとほぼ同時に花が咲く。花は白色または淡紅色で直径 3~3.5 ㎝。萼には毛が少ない。
- 果実は5月ごろに黒く熟す。この野性のサクランボは、ほのかな甘みがあり、野鳥たちのえさとなる。
<類似種・一緒に覚えたい樹木>
マメザクラ(豆桜)、オオシマザクラ(大島桜)、カスミザクラ(霞桜)、オオヤマザクラ(大山桜)
<見分け方>
・マメザクラ;花も葉も小さくかわいらしいのでこの名がある。関東南部から中部地方東部に自生するが、富士山周辺にとくに多い
ので、フジザクラとも呼ばれる。高さ3~7m。葉は互生し長さ3~5㎝の倒卵形で、欠刻状の重鋸歯がある。直径 2 ㎝ほどの白ま
たは淡い紅色を帯びた花を下向きに咲かせる。
・オオシマザクラ;伊豆諸島に自生しているのでこの名がある。房総半島や伊豆半島に野生状態のものが見られる。樹皮は暗灰色。
枝は太く、葉や花も大きい。葉の縁には先が芒状になった重鋸歯がある。葉は厚く毛が無いので食用に適し、桜餅を包むための塩
漬けに加工される。花期は 3~4 月。
葉が開くのと同時に香りのある白い花を咲かせる。花は直径3~4 ㎝。
・カスミザクラ;ソメイヨシノよりも1週間以上遅れて、白い花と、緑から茶色の若葉が同時に開く。新緑の林の中にたなびく霞の
ように花を咲かせる。ヤマザクラよりも標高の高い所に生える。また、葉の裏面が白くなく、葉柄や花柄に毛があるので見分けが
つく。別名をケヤマザクラという。
・オオヤマザクラ;葉の基部が浅いハート形。花序は散形状で柄がほとんどなく、花の色が濃いピンクなことと、芽鱗が粘るのが特
徴。ヤマザクラよりも標高の高い所に生える。
<利 用>
公園樹、庭園樹。家具材。樹皮は樺細工などに利用される。材は赤褐色で緻密。良い香りがする。古くは浮世絵の版木に使われた。現在も本格的な版木には本種を使用する。


作成者:石田 秀雄 ・髙橋 和枝
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