ムラサキシキブ (クマツヅラ科 ムラサキ シキブ属)
属名Callicarpa は「美しい果実」を意味する。和名の由来は言わずもがなの「源氏物語」作者の紫式部に、果実の美しさなぞらえたものであり、平安の昔からずっとこの名かと思っていたが、江戸初期にはこの名はまだなく、当時の植木屋がしゃれた商品名として名づけたという説もある。また、紫の実が敷きつめられたように付く「紫敷き実」や、紫の実が茂る「紫茂げ実」などがなまって付いたとの説もあり、その由来には紆余曲折があるのかもしれない。
実はほんのり くて、食べられる(食用とまでは言わない)。個人的には梅仁丹を思い出す。(木下)
秋にこの紫色の小さな果実を見つけると、直ぐにムラサキシキブと分かり、名前も一度聞くと忘れられない。実がついていないと分からないのは私だけか。(竹内)
千葉県
県内全域の山地から丘陵地全域。
全国
北海道~沖縄、朝鮮半島、中国、台湾。
夏緑林やその林縁に生える。
- 樹高3m前後。株立ち樹形で枝が斜めに張り出す。若枝は細く星状毛がある。
- 葉は対生、長さ10cm前後の楕円形~長楕円形。葉先が長く伸び、鋸歯がある。冬芽は裸芽で白く小さな葉っぱ様。
- 花期6~8月。3~4㎜の筒状合弁花で淡紫色の花を多数つける。
- 果実は3㎜程の球形で、9~12月
- コムラサキは千葉県レッドリストC(生息地確認によりBからカテゴリー変更された)
ヤブムラサキ、コムラサキ
・ムラサキシキブ
萼片は小さく 5 裂。花序は葉柄の付け根に出る。葉は無毛でざらざらの手触り。鋸歯が全体にある。
・ヤブムラサキ萼片は大きく 4 裂。花序は葉腋から出る。葉は有毛でビロードのような手触り。特に葉裏は星状毛が密生する。
・コムラサキ ・萼片は浅く 4 裂。花序は葉柄から離れて出る。葉は無毛で、やや倒卵楕円形で、鋸歯が葉先半分にだけある。枝に
稜があるのも大きな特徴。
- 庭木や器具材(大工道具の柄→ノミヅカ)、箸の用材。木炭材。幹がまっすぐで強いので道具の柄や杖など身近な用材として親しまれた。
ムラサキシキブ 葉と実
実を拡大
★参考文献 都会の木の花図鑑(石井誠治 著)、葉で見わける樹木増補改訂版(林将之 著)、樹木の見分け方ポイント図鑑(林弥 総監修)、日本の樹木(林弥 編)、千葉県の自然誌 別編4
作成者:木下 (竹内追記)
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