5 月に船橋市藤原町の道路わきに薄紫色の美しいセンダンの花を見た時には感動した。初夏に咲く薄紫色の花は美しく、香りも良い。一つ一つの花は小さいが、まとまって咲くため、花期には木全体が薄紫色に見えるほどにもなる。
秋に熟すクリーム色の大きな実は、枝先に鈴なりにでき、遠目からも目立つ。その姿は数珠がたくさんあるように見えるため、「千珠」と呼ばれ、それが変化してセンダンとなった。自然環境であれば落下した実から発芽する確率は高い。
「栴檀は双葉より芳し」(センダンは苗の段階から良い香りがするように、才覚のある人物は幼少時からそれを発揮するという意味)で知られるが、本来これはビャクダン(白檀)を語ったもの。センダンの枝葉にはあまり香りがない。
センダングサ( キク科1年草)は羽状複葉で葉の形が本種に似ていることから名づけられた。
千葉県
自生はないが、植栽されたものがよく見られる。
全国
関東以西の本州、四国、九州、沖縄。
海岸近くの日当たりのよいところに生える。伊豆半島以西の暖地に野生状態のものが見られ、これを自生とする説もある。
- 樹高5~15m。樹高が高く、花や果実も特徴があるので、森林内でも目立ちやすい。
- 花は両性花で花期は5~6月。本年枝の葉腋から10~15cmの集散花序を出して花径2cmの淡紫色の5弁花を多数つける(種を断面で割ると五角形になる)。
- 果実は 2cm の卵形の核果で10~12 月に黄色に熟す。外側の皮をむくと、中から五角形で緑色の大きさ1cm位の星形の実がでてくる。
- 葉は互生で、30~80cmの2~3回奇数羽状複葉。小葉は3~6cmの卵形で鋸歯がある。
- 樹皮は赤褐色で浅く裂ける。
- 花の美しさもあって、庭木、公園樹、街路樹として植栽される。
- 樹皮は 生薬の苦楝皮(くれんぴ)。駆虫剤(虫下し)として、煎液を内服する。
- 果実は生薬の苦楝子(くれんし)。ひび、あかぎれ、しもやけに外用。また整腸、鎮痛薬として、煎液を内服した。なおサポニンを多く含むため、人、犬が食べると中毒を起こし、摂取量が多いと死に至ることもある。
- 葉も強い除虫効果をもつため、かつては農家で除虫に用いられていた。最近では犬猫の健康補助食品として、センダンの葉のエキスが売られている。
- 材は建築、器具用材として利用した。
- 核は数珠に利用した。
セダンの全体写真
センダンの実
作成者:鍛冶 健二郎
本サイトの記事・画像等の無断転載は禁じます。