イヌシデ


NPO法人千葉県森林インストラクター会
    種 名
イヌシデ (カバノ 科クマシデ属) 

    漢字名
 犬四手

  
シロシデ、ソロ、ソネ

    英 名
Korean hornbeam

 
Carpinus tschonoskii

    樹木区分
落葉高木

     

森林インストラクターの一口メモ
 身近な雑木林を構成する主要樹種で、低地まで広く分布する。「イヌ」は役に立たないものの意味で、固く材としての利用価値が低く、難燃性で薪にも不適であることからつけられたものと思われる。「シデ」は垂れ下がるようにつける果穂を神棚や神社、鳥居などの縄から垂らす白い紙垂(四手)に類似していることによる。春の新緑が美しく、春先の水の吸い上げが驚くほど多い。細い枝先を切っただけでポタポタと樹液が滴り落ちる。樹皮に特徴があり、平滑であるが縦に灰白色の縞模様が目立つので見つけやすい。秋に葉は淡黄色に色づく。英名の hornbeam は「固い木」の意味。ちなみに、アカシデは、Red-leaved hornbeam。(石田、西村)

<分布状況>

( 千葉県レッドデータブック ― )
千葉県 
県内全域に分布し、よく見られる。
全国
本州(岩手県・新潟県以南)・四国・九州
<生息地・生息環境>
山地や丘陵の雑木林

<特 徴>
  • 樹高は 20m程。樹皮は灰白色で滑らか。縦に白っぽい縞模様ができる。
  • 葉は互生。縁には細かい重鋸歯がある。葉身の長さは、4~8 ㎝。葉の表面は光沢はなく少し伏毛がある。葉柄の長さは 8~12 ㎜で淡褐色の毛が密生する。側脈が 12~15 対あり裏面に突出する。アカシデは 12 対以下。
  • 花は、4 月頃。黄褐色の穂状の雄花が大量に垂れ下がる。雌花序は本年枝の先端や短枝の脇から垂れ下がる。苞は広卵形で雌花が2個ずつつく。果穂はシデの名の元になったもので、しめ縄や玉串などに垂れ下る細長く切った紙に似ている。長さ 4~12 ㎝で半長卵形の葉状の果苞がややまばらにつく。
<類似種・一緒に覚えたい樹木>
アカシデ、クマシデ、サワシバ

<見分け方>
側脈の数はアカシデ(12 対以下) < イヌシデ(12~15 対) < クマシデ(20~24 対)の順に多くなる。アカシデは、樹皮がやや黒っぽく、老木になるとねじれてくる。葉はイヌシデよりやや小さい。春の芽吹きでは、名前の通り赤みが強い。サワシバは他の3種よりもっと標高の高い所に生える。側脈は15~23対。葉身の基部が深いハート形。葉裏に長い伏毛がある。 
<利 用> 
  • かつては建築材、器具材、薪炭に利用されたようだ。

イヌシデの樹皮
アカシデの樹皮
アカシデの芽吹
アカシデの新葉左上はイヌシデの芽吹
イヌシデ果穂 四街道総合公園(西村)
イヌシデ 雄花(枝の下方につく)と雌花(枝の先端につく)千葉都市緑化植物園(西村)
イヌシデ雄花 四街道総合公園 (西村)
イヌシデの幹の縞模様 四街道総合公園(西村)
作成者:作成者:石田 西村
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