フィールド別に千葉県の探鳥地をご紹介します
1.谷津干潟・三番瀬・小櫃川河口(盤州干潟)
皆さんは干潟と言うと何を思い浮かべますか。小さいころ家族と言った潮干狩りでアサリやハマグリをたくさん掘った、という人が一番多いのではないでしょうか。それ以外の季節では余り訪れることもなく、馴染みが薄いかもしれません。
しかし干潟と言うのは豊かな自然環境を守る上で大変重要な場所で、昔から「海の畑、海の肺、海の揺りかご」などと呼ばれています。河川から豊富な栄養塩類や有機物が流れ込み、また日々繰り返される干満により土の中に酸素が供給されるため、プランクトンや海藻が大量に発生し、それらを餌とするゴカイ、二枚貝、カニ、小魚、など極めて多くの生物が住んでいます。また、海藻や微生物は水質を浄化する役割も果たしています。
日本の干潟は昭和20(1945)年に全国で82621 haありましたが、平成6(1994)年までの50年間で 51443 ha にまで減少し、ほぼ38%が失われました。主因は埋め立てや海岸の護岸工事です。今では大規模な干潟の埋め立てこそなくなっていますが、道路を通すために干潟の一部を使おうという様な動きが無いわけでは有りません。残された貴重な干潟を守り続けたいものです。
日本を通過するシギ・チドリは干潟で十分な栄養を取り、数千キロにも及ぶ旅を続けます。春(4月下旬~5月)、秋(8月下旬~9月)頃、双眼鏡や望遠鏡を持って干潟に出かけてみましょう。また、ハマシギやミユビシギなど日本で越冬するシギもいますし、12月頃からは冬鳥のカモ類もやって来て美しく優雅な姿を見せてくれます。
(干潟で見られる主な鳥)
ムナグロ、ダイゼン、キョウジョシギ、キアシシギ、ダイシャクシギ、シロチドリ、トウネン、ミユビシギ、ハマシギ、カンムリカイツブリ、ミヤコドリ、スズガモ、など
谷津干潟
京成線谷津駅から徒歩15分程度で干潟の北側に出ます。
自然観察センターまでは更に20分程度の最も身近な探鳥地です。
1993年に干潟としては日本で初めてラムサール条約登録湿地となりました。
ラムサール条約とは地球規模で移動する渡り鳥を保護するために、国家間で協力して水辺の自然「ウェットランド」を保全することを目的とした環境条約です。
三番瀬
京成線船橋駅のそばから船橋海浜公園行きバスで25分程度
東京湾の干潟は9割以上が埋め立てられてしまいましたが、湾の最奥部に残された1800haに及ぶ貴重な干潟で多くの渡り鳥が飛来します。
冬季、沖合には数万羽のスズガモの大群が見られます。
詳しい情報は→ふなばし三番瀬海浜公園
小櫃川河口(盤州干潟)
木更津駅から路線バスで畔戸高須入口下車。そこから干潟入口ゲートまでは徒歩で1.8km、25分。又は内房線巌根駅から徒歩約一時間。
小櫃川は長さ88Km、千葉県では最長の川です。
盤洲干潟は小櫃川河口に広がる東京湾に残された唯一の河口干潟です。大潮の時は最大で沖合2.2Km迄歩いて行けます。ゲートから湿地に至る場所は広大なヨシ原が広がり、チュウヒやミサゴなどの猛禽も見られます。また海浜植物のハマエンドウ、ハマヒルガオ、ウラギクなども見られます。
2.銚子のカモメ
銚子漁港はカモメ類が沢山見られることで有名です。漁港にはおこぼれの魚を目当てにカモメ類をはじめとした多くの鳥が集まることが多いのですが。
銚子は特にカモメの多いところです。
カモメ類はウミネコとオオセグロカモメ以外は冬鳥です。小型カモメはユリカモメ・ミツユビカモメの2種、中型カモメはカモメ・ウミネコの2種、大型カモメはセグロカモメ・オオセグロカモメ・ワシカモメ・シロカモメの4種、合計8種が日本で普通にみられるカモメです。ズグロカモメ(小型)を入れて9種とすることも有ります。
防波堤の上には沢山のカモメが並びますが、ウミネコとオオセグロカモメが多く、数が少ないワシカモメ、シロカモメ、ミツユビカモメなどを捜すのはかなりの熟練を要します。鵜類も、カワウ、ウミウ、ヒメウの3種が見られます。
3.本埜白鳥の郷
本埜白鳥の里は日本で2番目に多いとも言われるハクチョウの飛来地です。
1992年に地元の人がたまたま舞い降りたハクチョウにエサをやり、田んぼに水を張って保護を始めたところ、次々と飛来数が増し、1000羽を超えるほどのハクチョウが飛来するようになりました。現在では「本埜白鳥を守る会」が中心となって、道路に消毒用の石灰を撒いたり、説明や注意の看板を立てたりして、ハクチョウたちを見守っています。
大きなハクチョウが飛び立ったり、着水する姿が間近で見られるのは中々迫力ある光景で、家族で鳴き交わす声は力強いものです。一方空を舞う姿は優美そのもの、人を優しい気持ちにさせてくれます。ここはカモ類も多く、周囲の田園や林には多くの小鳥がいて、時に猛禽類も飛びます。広々としたのどかな田園風景が広がり、冬の野鳥観察にはピッタリの場所です。
行き方はこちらを参照して下さい
オオハクチョウ
4.Japan Bird Festival の開催地
毎年11月初め頃、千葉県我孫子市で野鳥関係の日本最大の催しであるJapan Bird Festival (JBF) が2日間にわたって開かれます。手賀沼のほとりには、手賀沼親水広場・水の館、我孫子市鳥の博物館、山階鳥類研究所など野鳥関係の施設が揃っており、それらを会場として、鳥に関する研究の展示・講演会、日本及び世界各地の野鳥関係団体や探鳥地紹介のブース、鳥のグッズ・書籍販売、双眼鏡・スコープの展示販売、鳥の写真・彫刻・絵画の作品展、各種体験教室などが開かれ、実に多彩な内容です。
専門家の講義を聴いたり、全国の探鳥地情報を集めて次にどこに行こうかと考えたり、素晴らしい腕前の写真を見たり、と2日間たっぷり楽しめます。鳥に興味が有る人ならば一度は訪れてみることをお勧めします。
下のバナーをクリックするとイベントの詳細がご覧いただけます。
(文・写真 安武 弘幸)