地域部会(千葉中央部会) 月例部会12月


NPO 法人千葉県森林インストラクター会
事業区分:千葉中央部会活動分野:自主活動 ※研鑽等(地域部会)
開催日時:2025年12月7日(日)9:30~15:00活動種類:その他
開催場所:山武市蓮沼~長生村一松海岸~一宮町釣ヶ崎海岸  参加者:10名

活動概要

2011年の東日本大震災の津波で大きな影響を受けた九十九里浜。中央部会は震災後三度にわたりこの地に足を運びましたが、今回は9年ぶり久々の九十九里浜でした。海岸林を中心に三カ所の海岸を観て回りました。
集合場所の蓮沼海浜公園にある展望塔からは、震災当時の写真と現在の海岸林の違いを比較して観ることができました。視線を山側に移すと筑波山の双耳峰、霞むように雪の富士山を眺めることができました。また、九十九里平野の成立ちに欠かせない、砂堤列に沿って集落と水田ができている様子も観ることができました。ステージイベントで盛り上がる公園を後に海の方へ向かいます。途中の植林地では複数のグミを観察することができ、その違いを比べることができました。1㎝程の実をつけていたアキグミ、開花期を迎えていたナワシログミ、ツルグミ、また葉の裏の銀色が冴えているマルバグミも観ることができました。

蓮沼海浜公園の展望塔より海方面。クロマツの植栽地が広がります
ツルグミが花を見せていました
1cm程の実をつけたアキグミ。少々味見を


海岸に向かう途中でクロマツの植林地を観察。参加者には実際に海岸林の造成にあたった千葉県北部林業事務所で勤務したメンバー二人がいたため、貴重な説明を聞くことができました。千葉県の海岸林は、強い潮風、地下水位が高いことによる過湿害、マツノザイセンチュウによる松枯れ病、2011年東日本大震災の津波被害による倒伏、塩害による枯死等々、今迄に様々な課題に直面してきました。そして津波対策の為に震災後に実施された砂丘の嵩上げや新たな造成、および造成or嵩上げされた砂丘背面(海岸と反対側)区域の植栽地の造成(過湿害対策の為の盛り土等)、そして新たな植林。厳しい環境下ならではの植林の困難さを知ることができました。

竹簾(たけす)で囲われたクロマツの植栽地
実つきの良いサルトリイバラが目を引きます
テリハノイバラの実
ヨモギの茎に謎の綿毛が、、ヨモギクキワタフシ


昼食後には、一時海岸の過湿地での植栽樹種候補として検討されたヌマスギ(ラクウショウ)の植栽試験地を見学したのち南下、長生村一松(ヒトツマツ)海岸のカイヅカイブキ並木を訪れました。砂浜の最前線にカイヅカイブキが植えられ、大震災時にはかなりの塩水を被った筈なのに、大変元気な様相を呈していました。なぜここに植林されているのか? その「謎」について、あれこれ「議論」しましたが、真相ははっきりしないままでした。でもかなりの耐潮風害能力は保有しているようですが、一般に面的に植栽される樹種ではないことなど、樹形に特徴があり景観上から否定される意見が多いことなどから、海岸林に使用された実績はないとのことです。
最後に海岸林造成の先進モデル地域として、2021年に東京五輪のサーフイン会場になった一宮町の釣ヶ崎海岸を訪れました。4年~8年生くらいのマツ林が、「健全な姿」をみせてくれました。他の九十九里海岸も一刻も早く健全に成長した姿を見せてほしいものです。

千葉県内でも目にすることの少ないタンキリマメ
一松海岸の造成地。盛土を整地した後、クロマツの植栽が始まります
2020東京五輪開催地の記念碑の前で集合写真。釣ヶ崎海岸

参加者: 稲岡、植村、小高、宍倉、竹内、寺嶋、長嶺、広畠、望月、宮崎


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