千葉の山の四季 ~季節をいろどる花々~


*本記事は2023年1月発行の森に親しむ野外講座ニュースレター「森のかぜ No.2」より転載しております。

千葉県は、全国で最も標高の低い県です。県内で最高峰となる山は、南房総市にある嶺岡愛宕山(みねおかあたごやま)で、その標高は408.2mです。標高数千メートルの山々と比べると丘陵のようではありますが、実際に歩いてみますと、尾根と谷が複雑に入り組み、また常緑樹でうっそうとしていることもあり、その山深さに驚かれることでしょう。ここでは、千葉の山を彩る花々をいくつか挙げながら、その魅力を紹介したいと思います。ここに挙げた植物はほんの一部になりますので、実際に歩かれて観察していただければ幸いです。

春、その訪れをいち早く感じさせるのは、渓流沿いに多く見られるフサザクラではないでしょうか。花弁はないものの赤い雄しべが、いまだ眠っている木々の中でよく目立ちます。足元には、スハマソウ、コセリバオウレンなどがぽつぽつと咲き始め、春の妖精といったような小さいけれど可憐な花を見ることができるでしょう。あまり目立つことはありませんが、オニシバリやコショウノキなども早くから花をつけています。

フサザクラ雄しべ
フサザクラ
コショウノキ
スハマソウ

 少しずつ気温が上がるにつれ、マルバアオダモやクロバイの花が、新緑も濃くなり始めた山々の中に点々と目立つようになります。
気温とともに湿度も上がるようになると、沢沿いには、ケイワタバコ、ウワバミソウなどが崖に張りつくように生え、いっせいに花を咲かせます。清流の瀬音とともにカジカガエルの美しい鳴き声があちこちにこだまします。薄暗く少し涼しい林の中では、クサアジサイやヤマアジサイ、イワガラミなど、白い花々が目立つようになります。

マルバアオダモ
ウワバミソウ
クサアジサイ

そして秋、気温が下がり始め、秋の気配も終盤にさしかかると、シラネセンキュウやイズノシマダイモンジソウなどが開花します。
リュウノウギクやキヨスミギク(アキバギク)、シラヤマギクなどの菊の仲間も林床に多く、私たちの目を楽しませてくれます。日当たりのいいところではリンドウが花を開きます。関東で一番遅い紅葉が見られるのも千葉県の山の特徴でしょう。カエデ類(イロハモミジ、オオモミジ、ウリカエデ、エンコウカエデなど)の紅葉が見られる時期は、もう冬といっていいほどの寒さになっています。ネジキの見事なまでの紅色の枝、イズセンリョウの白い実、ヤブコウジやツルアリドオシの艶やかな赤い実など、冬の間もいろいろな見どころがいっぱいです。
千葉の山歩き、ぜひ季節を変えて足を運んでみてください。様々な発見にあふれるひとときになることと思います。(文・イラスト 齊藤 美穂子)

シラネセンキュウ
イズノシマダイモンジソウ
イズセンリョウ

<後記> 千葉県特に南総地区ではシカの増加が問題化していますが、シカが食べないイズセンリョウが目立つ地域もあります。また、北総地区では当たり前にあるアオキがシカの食害で極めて少ないのが南総の特徴です。動物と植物の関係も興味深いです(片山 彰)


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