大きな視点で自然を見る


NPO 法人千葉県森林インストラクター会
事業区分: ステップアップ講座活動分野: 自主活動 
開催日時:2025年10月23日(木)19:15~21:00活動種類: その他
開催場所: オンライン   受講者: 18名

活動概要

長年日本の森林・林業に関わって来られた寺嶋嘉春さんから話を伺いました。

1、(番外編)2025年2月に発生した岩手県大船渡市の大規模林野火災の被害について…現地視察報告
 この林野火災は、わが国では稀に見る大面積にわたる区域の森林(3694ha)が延焼しました。被害にあった樹木の種類は、スギ・アカマツが多く、人工林と天然林の割合はほぼ同じ位です。
 一般に林野火災は,乾燥した地表での火が先に広がる。⇒樹冠も含む木全体での火⇒火炎風・火炎旋風⇒飛び火 の順に広がる。
消火作業によって完全に林野火災を消すことは難しく、降雨を待つ。、今回は海岸が近いことからヘリコプターから海水を撒いた。衰弱した樹木が多く、松くい虫の被害の加速化になど、今もなお被害は拡大し続けている。
・鎮火後の被害〔土壌流出、道路や住宅への倒木、林内の倒木(倒木対策は森林所有者の責任)、病害虫の発生 等々〕
・復旧に必要なこと〔跡地造林、治山事業、作業道開設、私有林について意向調査(補助事業、森林保険)  等々〕
 山の急斜面など危険が多いため調査にも時間がかかっている。また、被害面積の72%は、私有地とのこと
 「今後の似たような森林火災への備え(防火用水など)は?」という質問に対し、地形急峻な場所では大変多くの「費用が必要」とのことでした。
 今回のことでも「国への期待が高まっている。」「PRが必要」との話もありました。

森林火災後半年の里山
現地調査で状況確認 
炎症範囲図
被害判定

2、「身近な樹木から千葉の森林と人の暮らしとの関わりを語る(2)~クスノキに着目
 森林環境教育として、樹木は、森林へ関心を持って行くための題材である。今回は例としてクスノキを紹介。

①、美しい森林を実感できるようにする。②、特性が捉えられるようにする…太くりっぱな樹になる。鹿児島県「蒲生の大クス」は、樹齢1600年、根回り33.5mで日本一。葉に肉食ダニを飼って草食ダニから身を守る。大風には、枝を落として幹を守る。アオスジアゲハの幼虫に葉を、キジバトには実が食される。 等 

③現実の森林の様子、④生活と森林の関わり…幹、枝から樟脳を抽出した。防虫剤となる。セルロイドの原料にもなる貴重な輸出品であるため、明治期以降植栽が奨励。現在、建築材・家具・彫刻・仏像・楽器・アロマオイル 等に使用

⑤森林の維持管理…中国南部原産の説があり、日本でも暖かい地域に多い。クスノキは強い光を浴びることが大切(人為による攪乱された開けた土地などが必要)

⑥先人たちと森林とのかかわり方…腐りにくい材で縄文時代の遺跡から出土。香取郡神崎の大クスを350前に見た水戸光圀公の感嘆の言葉から「なんじゃもんじゃ」の名で知れ渡った。

森林をめぐる「検討テーマ」
日本一の巨樹 蒲生の大クス
アオスジアゲハとキジバト

クスの葉のダニ室(小さな点)
千葉から岩手への途中、岩手県に入ると松枯れ(松くい虫の被害)が北東北一帯へ広がっている。今年は、火災発生時期と夏期に極端に乾燥する時期があり、森林火災の素因になったこと、木が弱ることで病害虫被害を受けやすくなること等、気候変動による自然への影響を考察しつつも、森林の大切さを改めて実感する時間でした。

講師 (チーフ講師、寺嶋嘉春)


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