ヤマグワ


NPO法人千葉県森林インストラクター会
    種 名
ヤマグワ (クワ科 クワ属) 

    漢字名
 山桑

  
クワ、シマグワ

    英 名
Mulberry

 
Morus Australis 

    樹木区分
落葉高木

     

森林インストラクターの一口メモ
 千葉市花見川の土手で、本種の黒色の果実を食べた。甘くて 美味しかった。

受精卵の初期に「桑実胚」という段階がある。細胞数が 20程度で本種の実に似るため。

地図記号にもなったほど、日本で桑畑は良くある風景であった。しかし、現在、養蚕業が盛んだった地域では、生産者の高齢化、生糸産業全般の衰退の中で、畑等に転用されたり、放置された桑畑も多く残る。

 雷が鳴ると、「クワバラ、クワバラ」と言いながら、物陰に隠れたものだが、この「クワバラ」の語源には諸説ある。その 1 つに宮崎県福島村でクワの上に雷が落ち、雷がケ をしたので落ちないようになったという説がある。

 私の実家では、私が小学校の低学年ごろまで養蚕を行っていた。蚕が繭になるまで、毎日大量のヤマグワを与えていたが、一晩で食い尽くしてしまい、翌日にはヤマグワの葉脈と蚕の糞だけが残り、それを掃除して、また大量のクワを与えることの繰り返しで養蚕は、かなり重労働であった。

<分布状況>

( 千葉県レッドデータブック ― )

千葉県
全域に分布。
全国
沖縄を含む全国に分布。

<生息地・生息環境>
丘陵~低山の林内、路傍、海岸、河口の中洲などに自生する。よく見かける樹木。

<特 徴>
  • 樹高 3~15m。葉が カイコの餌となるので栽培もされている。雌雄異株、まれに同株で花期は 4~5 月。雄花序、雌花序ともに新枝の葉腋に 1 個ずつつく。雄花序は緑白色の長さ円 2cm の円筒形で多数の雄花をつける。雌花序は緑白色の長さ 0.5cm の球形で多数の雌花がつく。果実は黒紫色の長さ 1.5cm の楕円形の集合果で 6~7 月に熟す。樹皮は褐色で縦に筋が入り、薄くはがれる。葉は長さ 6~14cm の卵形または 3~5 裂に深くきれ込んだ分裂葉で変異が大きい。やや粗い鋸歯があり互生する。幼木ほど切れ込みが多く、成木になるにつれて丸くなる傾向がある。
<類似種・一緒に覚えたい樹木>
コウゾ、 カジノキ 、ヒメコウゾ

<見分け方>
上記3種はクワ科コウゾ属である。花や葉、果実は本種と似ている。本種の葉は カジノキ と同様に3~5 裂するが、ヒメコウゾは 3 裂までである。 カジノキ は枝葉に毛が多い。ヒメコウゾは葉柄が 1cm と短い。
上記3種の実は赤色で本種と違って黒くならない。コウゾはヒメコウゾと カジノキ の雑種といわれる。
<利 用> 
  • 葉がカイコの餌となる。果実は甘く食用となる。実の食べ頃は、赤色から黒色になったときで、甘くて美味しい。自然食ブームでジャム作りに人気が集まっている。
  • クワの木質はかなり硬く、磨くと深い黄色を呈して美しいので、しばしば工芸用に使われる。しかし、銘木として使われる良材は極めて少ない。
  • 古くから弦楽器の材料として珍重された。正倉院にはクワ製の楽琵琶や阮咸が保存されている。

ヤマグワの葉
ヤマグワの実
作成者:鍛冶 健二郎  髙橋 和枝
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